シャーリング加工とは
シャーリング加工とは、板金の素材を任意のサイズに切断する機械のことで「せん断機」とも呼ばれています。上刃と下刃が付いており、原理は日用品のハサミと同じです。
といっても強固な刃が取り付けられているため、鉄やアルミ、ステンレスなどの金属も一瞬で切断することができます。基本的に上刃には角度が付いており、この角度が付いているため直線的に切断することができます。
一瞬で金属を切断できるシャーリング加工をおこなうときは危険も伴う作業であるため、シャーリング加工機にはいくつもの安全装置が取り付けられています。
シャーリング加工機の種類
シャーリング加工機は板金素材の大きさや板厚、作業効率によって最適なものを選ぶ必要があります。ここではメカ式と油圧式についてそれぞれご紹介していきます。
メカ式
切断する刃を動かす機構が機械式のものを「メカ式」と呼びます。機械式シャーリングとも呼ばれ、加工速度が速いという特徴があります。また、機構が単調でメンテナンス性にも優れているのもメリットです。
一方で厚板の板金には対応していないものが多く、6mm以上のものを切断するのには向いていません。さらに加工音が大きいのもウィークポイントで、長時間の使用はかなりの騒音問題となることも考えられます。
油圧式
切断する刃を動かす機構が油圧のものを「油圧式」と呼びます。油圧で刃を動かすため、板厚が厚いものでも切断することが可能で、加工音もかなり静かです。
一方油圧機構は動きが遅く大量生産の際は非常に効率が悪くなることが多いというデメリットがあります。また、油圧機構は油漏れなどの不具合を起こす可能性もあるため、日々の油圧管理が欠かせません。
シャーリング加工機の違い
シャーリング加工機といっても製造メーカーも様々ですので、代表的なシャーリング加工機のメーカー別の特徴を見てみましょう。
アマダ
板金機械全般を取り扱う大手で、もっとも知名度があるメーカーです。機械式や油圧式だけでなく自動シャーリングなどといったシャーリング全般を取り扱っています。
相沢鉄工所
主に機械式シャーリングやプレスブレーキを取り扱っており、材料供給から切断加工、集積までを一体化した自動シャーリングシステムや、サーボモーターで駆動し作業効率が優れている「サーボシャーリング」も販売しています。
コマツ産機
板金機械全般を扱うメーカーで主に油圧シャーリングを販売しています。操作性が良く誰でも簡単にシャーリング加工ができるように作られているため、教育機関でも採用されています。
シャーリングカットの際に生じるバリ、ダレとは
シャーリングカットは上刃を加工物に押さえつけて切断するため、切断面の上部は押さつけられた跡で丸くなります。この状態を「ダレ」といい、先端が丸い形状になるため手で持ってもケガをする心配がありません。
一方反対側の切断面は上刃により加工物が引っ張られるような状態になるため、切断面は尖った状態になります。この状態を「バリ」といい、手で持つとケガをする可能性あります。そのためシャーリングカットをおこなったときは、バリが発生している面を磨きをかける必要があります。
また、ダレやバリの大きさはシャーリング加工機の精度に関係していますので、良い加工機ほど仕上がりが綺麗になるともいえるでしょう。
レーザー加工との比較
レーザー加工は板金など薄い素材を切断したり、表面にマーキングや彫刻も行うことができます。また、直線だけでなく複雑な形状も加工することができます。さらに切断面に誰やバリが発生しないため、面取りといった工程を短縮できます。
一見シャーリング加工機よりも優れている面しか存在しないように見えますが、レーザー加工は板厚が3mm以上のものはカットすることができません。また、加工の際はグラフィックソフトの知識が必要となりますので、レーザー加工は誰でも簡単にできる作業ではありません。
そのため、ある程度の厚板を直線的に切断する加工であればシャーリング加工を選択し、複雑な形状に切断したり彫刻をする加工であればレーザー加工を用いるといったように使い分けるといいでしょう。