モノマド辞典:ブロー成形

ブロー成形とは

ブロー成形とは、柔らかくした材料を金型にセットし、空気を入れ風船のように膨らませる成形方法の事です。ブロー成形のブローとは英語でblow、すなわち「吹く」という意味があります。

材料は熱で溶ける熱可塑性樹脂。パリソンと言う筒形状にしたものを空気で膨らませることができる位にやわらかく、かつ溶けださない程度の状態にします。そのパリソンを型に入れ、圧縮空気を吹き込んで型に押し付け冷やし硬化させます。

ペットボトルやポリタンクのような中空の製品を作る為、中空成形とも呼ばれています。ブロー成形の歴史は古く、日本においては、1952(昭和 27)年頃に食品容器として、PE(ポリエチレン) のブロー成形容器の本格的な商業生産が始まっています。

ブロー成形で作られているモノは射出成形についで私たちの身の回りに多く使われています。射出成形と異なる点は、射出成形が溶かしたプラスチックを金型に押し込んで固める製法に対し、ブロー成形は、押し出し機を搭載したブロー成形機を使い、押し出し機で筒状のパリソンと言われる容器を作ります。金型に挿入してふくらませるという製法です。

ブロー成形のイメージ図

ブロー成形の特徴

射出成形では金型から抜けない形状(内側が膨らんだ)を作る事ができます。

ブロー成形は射出成形と違い高圧がかかる訳ではなく、あまり複雑な形状は作れない為、射出成形の金型と較べれば若干安価になります。(パリソンの金型も作る場合、射出成形より高額になることもあります。)パリソン自体は流通している既製品を使うことが可能です。

また、ブロー成形は、パリソンの温調や圧縮空気を吹き込む為、設備が大掛かりになります。その為、射出成形と較べて、大量生産向きです。また膨らませ金型に張り付けて成形するので肉厚部や内側部分の細かな制御は難しく、肉厚を正確に作ることが困難で寸法精度が高くありません。

膨らませた時の材料の伸びに差が生じ不良の原因になるので、成形品の部分によって厚みに偏りが生じる、偏肉を避ける形状に設計する必要があります。偏肉を抑える好ましい形状は、なで肩、しりすぼみで、断面は円か角のとれた方形、パーティングライン(金型の合わせ目)を長径とした楕円形状もしくはそれに近い長方形がのぞましいとされています。

ブロー成形の種類

押出ブロー成形

押出ブロー成形とは、可塑化(熱で柔らかくした)材料を押出したパリソンが冷却しないうちに直接空気を吹き込むホットパリソン方式であり、ダイレクトブロー成形とも言われます。

押出機で加熱し柔らかく温調された樹脂を金型上部から底の有る試験管のようなチューブ形状に押し出します。柔らかい状態のパリソンを金型で挟んで内部に空気を吹き込み冷却後、金型を開いて成形品を取り出します。

食品容器の成形に広く用いられている方法です。特に、酸化による食品の劣化を防ぐボトルとして、各種食用油容器やマヨネーズ容器等が成形されています。

射出ブロー成形

射出ブロー成形とは、射出成形でパリソンを成形した後、ブロー用金型に移して空気を吹き込むことでボトル状に成形する方法です。別名プリフォーム成形とも呼ばれています。

押出ブロー成形に比べ、寸法精度が高く品質や量産性に優れた成形方法です。押出ブロー成形では、パリソンを挟んだ時に生じた不要な部分はバリ(ロス材)として除去しますが射出ブロー成形は不要です。

「ヤクルト」の容器は、スチレン樹脂を用いてこの方法で成形していることが多く知られています。

ブロー成形の製品例

食品容器:ペットボトル、ヤクルト容器、調味料、油のボトルなど
日用品、家庭用品:ポリタンク、じょうろ、シャンプーボトル、洗剤のボトル、薬瓶など
自動車部品:ガソリンタンク、冷却水タンク、ブレーキオイルタンク、パイプ類など
その他:楽器ケース、工具箱、レジ袋、玩具など

ブレー成形の製品例

対応企業紹介

会社名:
株式会社日本容器
事業内容:
ブロー成形・射出成形・加工機製造
所在地:
大阪府豊中市春日町4-2-16 ライジング登代ビル2F
対応品目:
ブロー成形射出成形装置(自動機・専用機)製造