レーザー(切断)加工とは
レーザー加工とは、板金にレーザー光線を照射して穴あけや切断を行う加工のことです。
光を1か所にレンズで集めると、極めて高いエネルギーの光が得られ、その光の熱により穴あけや切断などの加工が可能になります。
「光の熱で金属を焼き切る」と想像するとわかりやすいと思います。直進性が強く広がらないという性質(指向性)を持っています。
レーザー加工でできる製品
皆さんは、板金加工と言うと何を思い浮かべますでしょうか?自動車をぶつけた時など出来てしまった、傷やへこみを綺麗に修理する事を想像されるのではないかと思います。
しかし製造業では、異なります。製造業では、板金加工とは、金属の板に穴あけ、切断、折り曲げを行い目的の形状にする加工の事を言い、同じような加工にプレス加工があります。
図に示すように展開形状を作る過程は、プレス加工は、穴あけ型、外形抜き型それぞれの加工に金型が必要なのに対し、板金加工は汎用の抜き型(通称タレパン、英語: turret punchの略)やレーザー加工にて製作します。
私たちの生活の中、身近なところにレーザー加工を行う板金製品は使われています。
家庭用品:スマートフォン、エアコン、食器など
オフィス用品:パソコン、机・ロッカー、事務用品など
街角用品:信号機、看板、自動販売機、厨房設備など
多くのものに、レーザー加工の技術が応用されています。
レーザー加工の種類
レーザーは、媒体(電磁波の1つである光が伝播する場となる気体、固体、液体の事)と波長(赤外線、可視光線、紫外線などの分類があります。)によって区分けされ、色々な種類があります。
レーザー加工に使われるレーザー光線は、CO2レーザー、ファイバーレーザー、YAGレーザーです。この3種類の方式にはそれぞれ特徴があり、加工に適した材料が異なっています。
CO2レーザー
波長:10.6μm
媒体:気体(炭酸ガス)
適した材料:木材、アクリル、ガラス、紙、布地、プラスチック、皮革、石材※金属の切断ができない。
YAGレーザー
波長:1.06μm
媒体:固体
適した材料:鋼材、アルミニウム、ステンレス、銅、プラスチック
※高出力で金属の切断が可能
ファイバーレーザー
波長:1.07μm
媒体:固体(光ファイバー)
適した材料:鋼材、アルミニウム、ステンレス、銅、プラスチック、セラミック
※高出力で金属の切断が可能。YAGレーザーより導入コストが高価ですが、より高速。
レーザー加工とタレパン加工の比較
穴あけ、切断を行う板金加工にはレーザー加工とタレパン加工があります。どちらも同じような加工ができますが工法による特徴があります。それぞれの特徴の比較は次の通りです。
レーザー加工
レーザー加工は、レーザー光を照射しその熱によって材料を溶かし切る為、金型が不要で複雑な形状の加工が可能です。
金型が不要なことから工具の交換にかかる時間が短縮できる反面加工時間が長く、ある程度の個数を製作してもコストが下がらないので量産向きではありません。
レーザーの焦点距離が最大3mm程度と短い為、厚板の加工には不向きです。
穴あけ、切断方法:レーザー光
制御方法:グラフィックソフト
最大加工能力:3㎜厚
※バリ、反りがない、ドロス除去仕上必要、試作向き
タレパン加工
タレパン(タレットパンチプレス)はパンチと言う上金型とダイと言う下金型ワンセットの汎用金型をタレットと言う円形ホルダに格納しプレスにセットして打ち抜き加工を行います。
NCプログラムにて必要な金型を選択し複雑な形状を高精度に仕上げられ、高速加工が可能です。十数万円から数百万円の初期費用をかけ、金型を作るほどの個数でなくてもある程度の数がまとまれば安価に製品の製作を行えます。
プレスの能力にもよりますが最大4.5mmの厚板まで製作が可能です。
穴あけ、切断方法:金型
制御方法:NCプログラミング
最大加工能力:4.5㎜厚
※バリ除去仕上必要、タレットに格納する金型の準備、段取りが必要。量産向き