押出成形とは
押出成形とは、加熱してドロドロに融解された樹脂を型の中から押し出し、そのまま空気や水で冷却して固化させて連続的に成形する方法をいいます。
金型の内部で樹脂を冷却させるわけではなく、投入口より入れられた材料が加熱シリンダー内で加熱され、金型の押し出し口から通過させて一定の形状を成形する方法です。
材料が押し出された後に冷却して硬化させていきますので、一定の形をした成型品を連続的に成形する方法ともいえます。
押出成形の特徴
成型品はどこを切断しても同じ断面形状をするのが押出成形の特徴となります。丸い形状の押し出し口であれば丸棒が製造され、四角い押し出し口であれば板材、ドーナツ形状の金型であればパイプ形状の製品が出来上がります。
食品に例えると、生クリームの絞り金をイメージするとわかりやすいと思います。金型の押し出し口を様々な形状のものに変えることで、目的の製品の形状を成形でき、製品によっては表面が滑らかで仕上げが不要というメリットもあります。
押出成形は設備自体は複雑で加工が難しそうにも見えますが、金型の設備を交換するだけで樹脂の形状を「自由に」「連続的に」「安定して」成形することができるため、プラスチックなどを加工する方法としては極めて合理的な加工方法ともいわれているのです。
押出成形の工程
押出成形では、樹脂のペレットをヒーターを使って加熱・溶解させながら金型内に押し込んでいきます。その後、金型から成形された溶解プラスチックを冷却固化させます。
金型からは絶えず溶解プラスチックが出てくるため、金型だけでは十分な冷却時間を確保できませんので、サイジングダイという成形物が変形しないように支えながら冷却する装置を通します。
サイジングダイから出た後は冷却水槽を通り、引取機で引っ張られながら必要なサイズにカットされていきます。薄板や柔らかい製品はドラムに巻き取って成形することもあります。設備を一度稼働させるとほとんどを自動でおこなってくれるため、効率よく生産することができるでしょう。
押出成形でできる種類と製品例
押出成形で成形できる種類と製品例をご紹介していきます。
樹脂を投入し、金型から押し出すという基本的な押出成形の製造方法であることには変わりませんが、成型品の「大きさ」や「形状」によって金型や成型品を引っ張る方法が異なりますのでご紹介していきます。
ちなみにJIS規格では厚さが0.25mm以上のものを「シート」とし、それ以下のものを「フィルム」と定義されています。
シート押出
金型から押し出された樹脂をロールで巻き取りながら冷却して成形をおこないます。主に食品容器や建材、事務用品や衛生用品などのシート類を製造しています。
Tダイによるフィルム押出
シート押出と同じ成形方法ですが、金型で樹脂が扇形に広がるように薄く成形していきます。シートを長さ方向に引き伸ばして強度を増しながら成形していきます。
異なる材料のラミネーションにも用いられる製造方法で、ラミネート品や各種フィルムなどがこの方法で成形されます。
インフレーション法によるフィルム
樹脂を円筒状に押し出し中に空気を入れて膨らませながらフィルムを成形します。
空気を入れて膨らませることによりフィルムが直径方向に伸ばされ、さらに巻き取る方向にも引き延ばすことができるため成形品の強度を増すことができます。ラップやポリ袋など非常に薄い材質のものを製造するときに用いられます。
パイプ、チューブ、異形品
溶解した樹脂を二重円筒状の金型を用いて押し出していきます。押し出された樹脂はサイジングダイで冷却固化して成形していきます。
各種パイプだけでなくチューブや窓枠のサッシなどがこの方法で製造されています。
丸棒
中実の円筒状の金型を使用します。金型の押し出し口のサイズによって様々な大きさの丸棒を成形できます。
丸棒押出では成型品が冷却過程で外側から冷却されて固化することで内側が徐々に引っ張られ変形していきます。そのためサイジングダイで全体をしっかり冷却できるように設計することが非常に重要です。