自動機・専用機とは
従来人がおこなっていた作業を機械に置き換えて作業の効率化や品質の向上を図ること目的とした設備をいいます。製造するものや目的により工程が変わってきますので、多くの製造現場ではオーダーメイドで製作されます。しかし、少量生産や試作が多いところではいくつかの汎用設備を組み合わせて自動化しているところもあります。
自動機の分類と装置例
自動機は基本的に1工程につき1つの装置が担当しますが、製造工場の規模によっては材料供給から加工、検査、梱包を一貫しておこなえるものまで存在します。検査、組立て、加工と製造現場では欠かせない工程で使われる装置例をご紹介します。
検査装置
製造装置で作られた製品は、人間の目で検査をおこない、経験や認識、知覚判断によって瞬時に判断することができます。しかし熟練した作業員が必要で技能の伝達が難しいというデメリットがあります。
そこで現在では様々な検査工程を自動でおこなえるようにし、工数の軽減を図っています。代表的な検査装置を見ていきましょう。
画像検査装置
全数目視確認をおこなうとかなりの労力がかかりますので、カメラを用いて画像検査を取り入れています。
導入されたばかりの時はカメラの画素数や処理技術が悪く検出ができないなどのトラブルが相次ぎましたが、現在は数百万~数千万画素のカメラを使用しており、人間の目では難しいレベルの異物や傷の検査もできますので、自動化の生産現場では欠かすことができない装置となっています。
リーク検査装置
出来上がった包装用パック内に充填された空気やガスのリークを検査する装置で、主に「真空方式」と「加圧方式」が用いられています。完全に密封された製品だけでなく、一定量の漏れであれば合格の製品でも一定圧力をかけ、漏れ出た量を測定して判定できます。
主に圧力センサを利用して圧力の差を計測し、一定の基準をもとに合否を判断します。
動作検査
完成した製品が正常に動作するか周辺機器を接続して検査をおこないます。メカニカルな部分だけでなく、システムに必要な制御プログラムの確認も同時に作成し、誤作動防止のためデバックまでおこないます。
欠品検査装置
自動加工された製品の数量やワークに加工をしたかどうかの検査には、画像センサや画像処理を活用して自動でおこないます。主な検査方法は「2値化処理」と「ブロブ解析」の2段階に分けられます。
2値化処理は濃淡によって表現された画像を白と黒の2階調に変換してワークが目的の形になっているかどうかを判断します。ある一定の基準を設けて白か黒に置き換えて判断するため、不明瞭な対象物でも鮮明になり抽出しやすく高速で判断できるメリットがあります。
また、2値化処理によって判別が容易になった画像をブロブ解析によって小さな塊ごとにカウントしていきます。それ以外にもカウント対象のマスターワークと類似しているものを検出したり、色情報を検出して判定する方法もあります。
組立装置
組み立てにはワーク同士を接合する技術が欠かせません。一般的な組み立てにはカシメや接着、ネジ締めの技術が用いられます。
カシメ装置
塑性変形を利用して板と板をつなぎ合わせるカシメという工法も自動でおこなえます。リベッターと呼ばれる機械で点で留める工法や、ベンダーマシンで材料自体を曲げ込んでかしめる方法があり、自動車のボディなどの金属製品に多用されています。
溶着装置
樹脂や非鉄金属を接合する溶着という方法は、接着剤やシーリング材と用途によって多様な種類があります。
溶着の自動化には狙った箇所に正確に接着剤を塗布したり、接着するワークがズレないように精度が求められるため、複雑な形状はプログラムで正確な位置に動くロボットでおこなわれます。
ネジ締め装置
ネジ締めは、ネジ山を傷つけないように正確な角度と締め付けトルクが必要になります。自動化ラインではナットランナーと呼ばれる自動ネジ締め装置が用いられます。
締め付け部はサーボモーターで制御しているため、締め付けトルクも自由に設定することができます。さらに複数のナットランナーを利用すれば一度に複数の位置を締結することができます。
加工装置
材料を指定の大きさに切ったり曲げたりする作業は、同じものを大量に生産する方法であるため、自動装置で生産する方が効率良く製造できます。一般的な加工装置をご紹介します。
シート貼付
ロール状のシートを等間隔に貼り付ける装置となります。シートの大きさが大きければズレも生じやすくなるため、精度が求められます。さらに傷や気泡が入ると製品としての価値がなくなるため、シートの貼り合わせ方や抑え方法を細かく調整しながら利用します。
剥離装置
シートをはり合わせる前にフィルムを剥離させる装置となります。剥離時の力加減の調整が難しく、強すぎるとフィルムの方が破れて廃品となってしまいます。またロットによって剥離強度にばらつきがあるため、複数の剥離ファイルを使い分けて安定稼働させています。
切断装置
製品の寸法や材質、生産時間よってシャーリングマシンのような刃や、トムソン刃、金型、レーザーなどを駆使して切断をおこないます。また、形状によって刃を自動で交換する装置もあり、プログラムや装置の設定をすれば、あとは全自動で加工してくれます。
切削加工装置
決められたコンピュータ制御(NC制御)によって材料を自動で切削していきます。加工だけでなく治具や切削工具も自動で交換できる大規模な自動装置もあります。ただし、大型の機械になればなるほど失敗した時に装置が負うダメージが大きくなるため、設定には高度な知識や経験が必要となります。
有機EL製造装置
有機ELは正確には有機エレクトロルミネッセンスいい、特定の電圧をかけると有機物が発光するため、スマートフォンやテレビのディスプレイに用いられています。 有機ELは蒸着源と呼ばれるノズルからの照射によって発光するため、EL層をパネルのように並べて成形していきます。現在は真空の環境で材料を気化させてEL層を形成する蒸着方式が用いられています。