鍍金(めっき)加工とは
鍍金(めっき)加工は、金属あるいはプラスチック、木材など非金属物の表面に金属の膜を生成する加工方法です。紀元前1500年メソポタミア文明の時代から行われていたといわれ、仏教とともに日本に伝わって来たそうです。仏像表面に金を装飾する技術に多く使われていました。
水銀と金を混ぜ合わせ、仏像の表面に塗り熱で水銀を蒸発させ固定する技術を利用しています(これを水銀アマルガム法と言います)。電気の発明により工業製品に使用され、現在では接点の金めっきなどパソコンや電気製品に欠かせない技術です。「メッキ」とカタカナで表現されることもありますが、本来外来語では無いので「めっき」と表現するのが正しいです。
アマルガム法で水銀に金が溶け見えなくなることから滅金と言われ、語源だそうです。主に耐食性、装飾性、機能性を求めるためにその技術は利用されます。次項でその効果、用途について詳しく述べていきます。
鍍金(めっき)の効果・用途
耐食性
鉄板は素地のままでは直ぐに黒っぽく変色してきます。これは酸化によって鉄が錆びるからです。酸化に強い金属をめっきして錆を防ぐ目的で使います。例えば、通称ブリキ板は溶融錫めっき鋼板が正式名称であり鉄板の耐食性を向上させたものです。このように機械設備や建物など構造物に多く用いられています。ホームセンターなどで目にする釘やねじの表面処理にも使われています。
装飾性
物品などの見た目を美しく飾ることに用いられるものを装飾めっきと言います。それ自体が機能を持たず、視覚的美感に訴えるものに使用されます。指輪やネックレスなどアクセサリーの装身具や自動車のエンブレム、電気製品の外装部品、筐体に活用されています。
機能性
いろいろな機能を持たせるために用いられるものを機能性めっきと言います。充電器の接点など接触抵抗を少なくする電気的特性を付与し、複数の部品が接触する部分の摩擦を少なくして滑りを良くする摺動性を向上させるのに使われます。またヘッドライトの反射板(リフレクター)など光学的特性を付与するのにも活用されます。
めっき分類
めっき技術は、水溶液を用いてめっきを行う湿式めっきと蒸発させた金属を用いる乾式めっきの2つに大きく分類されます。
湿式めっき
さらに湿式めっきには、電気を用いてめっきする電気めっき、化学反応を用いてめっきする無電解めっきがあります。
・電気めっき
電気を使うめっき方法です。電解液内にて、マイナス極側に被めっき対象物を、プラス極側にはめっきしたい金属を取り付けて電流を流します。プラス極側は酸化(金属が溶け出す事)マイナス極側では還元(溶けだした金属が被めっき対象物に付着して膜を生成します。)反応が起こります。電流を流す特性上被めっき対象物は導電性のある金属である必要があります。エッジ部分に電流が集中する為、極端に厚い膜が生成されるなどの特徴が有ります。
・無電解めっき
化学反応を使ってめっきする方法です。めっきの膜厚が均一につくため液が浸漬していれば複雑な形状や寸法精度を有するものに適し、またプラスチックなど導電性のないものにもめっきをすることが可能です。日本カニゼン(株)の無電解ニッケルめっきが有名です。
乾式めっき
真空中内で行うめっきのことで、真空蒸着、イオンブレーティング、スパッタリングなどがあります。
・真空蒸着
真空中内にて金属を加熱、蒸発させその成分を素材に付着、堆積させる加工方法です。アルミ蒸着シート(樹脂フィルムにアルミニウムの膜を生成したもの)など、アルミ銘板に代る新素材です。
・イオンプレーティング
加熱し蒸発させる金属粒子にプラスの電気を、素材にマイナスの電気を帯びさせ引きあう力を利用したもので、ほぼ真空蒸着と同じ原理です。真空蒸着に比べより密着性のよい膜を作ることが出来ます。
・スパッタリング
膜にする金属表面にプラズマを衝突させ金属粒子を蒸発させる方法の事です。真空蒸着の困難な高融点・低蒸気圧の元素や合金などの膜を作るのに利用されています。